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新年度が始まり、環境が大きく変わる春。4月には新しい学校、新しい職場、新しい人間関係に期待と不安を抱きながら、心身ともに張り詰めた日々を過ごす人が多くいます。しかし、ゴールデンウィーク明けを境に、倦怠感や意欲の低下、軽い抑うつ状態など、いわゆる「5月病」と呼ばれる症状を訴える人が増えます。

精神的な不調と同時に、食欲不振や不眠、疲労感など身体的な症状も現れることが多く、放置すると日常生活に支障をきたすこともあります。こうした変調に対しては、心のケアだけでなく、体の内側――つまり「食事」から整えることがとても重要です。

今回は、そんな5月病に寄り添う食材として、「玄米」に注目してみましょう。

5月病は正式な医学用語ではなく、多くは適応障害や軽度のうつ状態に該当します。新しい環境に適応する過程で、交感神経と副交感神経のバランスが乱れ、自律神経失調のような症状を引き起こすことがあります。特に、新入社員や新入生に多く見られますが、育児中の保護者や転職したばかりの人など、ライフステージの変化がある人にも起こり得ます。

こうした心身の不調には、ビタミンB群やミネラル、食物繊維などをしっかり摂取することが予防・改善につながるという研究が複数あります（※1, 2）。

白米と比べて、玄米には表皮（ぬか層）や胚芽が残っており、これらの部分に多くの栄養素が含まれています。注目すべきは、ビタミンB1、B6、マグネシウム、鉄、亜鉛、食物繊維といった、ストレス対策に欠かせない成分が豊富な点です。

とくにビタミンB1は「疲労回復のビタミン」と呼ばれ、糖質をエネルギーに変換する際に必要不可欠です。ビタミンB6は神経伝達物質（セロトニンやドーパミン）の合成に関与し、情緒の安定に関わります。

マグネシウムは自律神経の安定に寄与し、不足するとイライラや不安感が増すとされます。鉄は脳内への酸素供給を担う重要なミネラルで、亜鉛は免疫力の維持や神経機能の調整に関与します。

腸内環境の改善に役立つ食物繊維は、近年「腸脳相関（Gut-Brain Axis）」という観点からも注目されています。腸内環境が整うと、セロトニンなどの神経伝達物質の生成がスムーズになり、気分の安定にもつながります（※3）。

玄米は白米に比べて固く、しっかり噛まなければならないという特徴があります。実はこの「噛む」という行為が、心身に与える良い影響も見逃せません。

咀嚼にはリズム運動によって脳を活性化し、セロトニンの分泌を促す効果があることが知られています。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、気持ちを落ち着かせる作用があります（※4）。現代人の多くが忙しい食事時間の中で、咀嚼回数が減っているとも言われており、玄米はそのリズムを取り戻すきっかけにもなります。

「玄米は炊き方がわからない」「食感が苦手」という声も多く聞かれますが、最近では圧力鍋や炊飯器の「玄米モード」など、調理のハードルも下がってきています。

初めての方には、玄米王米穀店の厳選玄米のうち、こなつ農園の「ぴかまる」をお勧めしています。大粒でハリがあり、プチプチと弾けるような玄米らしい噛み心地を楽しむことができます。

また、玄米を使ったレトルトパウチや冷凍ご飯も市販されており、忙しい方でも取り入れやすくなっています。

もちろん、玄米さえ食べていれば5月病にならないというわけではありません。大切なのは、玄米を中心としたバランスのよい食生活と、適度な運動、睡眠、心の余白です。

それでも、毎日のごはんが「心と体を整える一歩」になるとしたら、これほど手軽で安心なセルフケアはありません。自然の恵みを丸ごといただく玄米は、現代の私たちが忘れかけているリズムや季節感、そして「食べることの意味」を思い出させてくれる存在でもあるのです。

5月の揺らぎを、玄米のやさしい力で静かに乗り越えてみませんか。

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厚生労働省「こころの耳：五月病とは」

https://kokoro.mhlw.go.jp/about-may-disease/

国立健康・栄養研究所「ビタミンB群と精神健康」

https://www.nibiohn.go.jp/eiken/

内閣府 食育白書（令和5年版） 第2章「腸内環境と健康」

https://www8.cao.go.jp/syokuiku/whitepaper/r05/index.html

東京都健康長寿医療センター「セロトニンと咀嚼の関係」

https://www.tmghig.jp/research/