2025/05/30 17:29
「なんだかパサつく」「においが気になる」「炊き上がりが固い」——そんな印象を持たれがちな“古米”や“古古米”。農家や米屋など、米に関わる現場ではよく耳にする言葉ですが、一般家庭でも買い置きしたお米が長期間残ってしまうことは珍しくありません。
少し古いお米でも精米したてで白米として食べるのであれば、ほとんど気になりませんが、玄米で食べる時には特に、パサつきや硬さが気になることがあります。
今回は、古くなったお米を少しでも美味しく食べるための工夫や、意外な“ひと手間レシピ”をご紹介します。
これから出てくる古古米の備蓄米を買ってみたら食味が少し苦手だったという場合にも、参考にしていただけたらと思います。
そもそも「古米」「古古米」とは?
新米とは、その年に収穫されたお米のことを指します。通常、秋に収穫され、その年の年末までに市場に出回ります。
古米とは、収穫から1年以上経過したお米のことです。つまり、令和6年10月に収穫されたお米なら、令和7年10月になると「古米」と呼ばれるようになります。古米は保管期間が長くなるにつれて、徐々に風味や食感が変わってきます。収穫から2年以上経過したものは「古古米」と呼ばれることがあります。
美味しさが落ちる原因
古米・古古米の風味が落ちる理由は主に以下の3点があげられます。
酸化:保管中に米の脂質が酸化し、独特のにおいや黄ばみが出ることがあります。
乾燥:水分量が減少することで、炊き上がりがパサつきやすくなります。
デンプンの劣化:デンプンが劣化すると粘りが失われ、食味に影響します。
しかし、こうした変化も、ちょっとした工夫で和らげることが可能です。
古米を美味しく食べるための基本の工夫
1. しっかり研ぐ
古米は酸化した米ぬかの成分が表面に残りやすいため、いつもよりしっかり丁寧に研ぎましょう。特に最初の研ぎ水はすぐに捨て、2回目以降はやさしく手早く研ぐのがコツです。
2. 水加減を調整する
乾燥した古米は吸水力が落ちているため、通常よりやや多めの水(1合あたり大さじ1程度)で炊くとふっくら仕上がります。また、いつもより長く浸水時間をとるとより効果的です。
3. 精米して白米で食べる
古米や古古米を長期間保管していた場合、玄米のままだと酸化した糠層の影響で風味が落ちていることがあります。その場合は、あらためて精米し直して白米にすることで、酸化した表層部分を除去でき、においが軽減されて食べやすくなります。
家庭用の精米機をお持ちでない場合でも、米屋やコイン精米所で精米が可能です。
「もち玄米」をブレンドするという選択
ここで少し変わったアプローチをご紹介します。それは——「もち米の玄米」を少量ブレンドすることです。
もち米は、うるち米より粘り気が強く、甘みが豊かです。特に玄米のまま使用することで、食感に変化が出て、古米特有のパサつきや物足りなさがカバーされます。
【ブレンドの目安】
うるち玄米(古米や古古米)2合に対して、もち玄米を1〜2割(0.2〜0.4合)程度混ぜるのがバランスのよい配合です。
玄米の香ばしさともち米の粘りが加わることで、結果として「少しモチっとした炊き上がり」になり、単調になりがちな古米の味わいにアクセントを与えてくれます。
当店で販売している「もち玄米」は、特に甘みが強いので、ブレンドにもおすすめです。
アレンジでさらに楽しむ
炊きたてのごはんとして楽しむ以外にも、古米・古古米を活用する方法はいくつもあります。
● 炊き込みご飯や混ぜご飯に
にんじん、油揚げ、きのこ類、生姜など香りや旨みのある具材と一緒に炊くことで、古米特有のにおいが目立ちにくくなります。しょうゆやだしの香りも相性抜群。


● おにぎりや焼きおにぎりに
やや固めに炊き上げた古米は、おにぎり向きです。焼きおにぎりにすることで香ばしさが加わり、違和感を感じにくくなります。

保存方法を見直そう
古米が出てしまう背景には、「食べ切れないほど買いだめしてしまう」ことや「適切な保存がされていない」こともあります。お米は生鮮食品。冷暗所、できれば冷蔵庫で保管することで、劣化をゆるやかにできます。
できれば、2週間〜1ヶ月程度で使い切れる量をこまめに購入するのが理想です。
まとめ
古米・古古米でも、工夫次第で「まだまだ美味しく」食べることができます。特に、もち米の玄米を混ぜて炊くというのは、手軽に食味を底上げできる一手です。ぜひ一度試してみてください。
捨てずに、美味しく、最後の一粒まで。毎日のごはんが、ちょっと嬉しくなるような工夫を、ぜひ取り入れてみてください。